西日本新聞さんが「オリーブの家」を紹介してくださいました

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西日本新聞さんが、「オリーブの家」を取材してくださいました。

「元組員「出所者に居場所を」 熊本の自立準備ホーム・青木さん 経験生かし更生支援 3年超で57人巣立つ」

刑務所や少年院を出た人に食事や宿泊場所を提供し、更生を支える熊本市西区の自立準備ホーム「オリーブの家」を運営する青木康正さん(69)は、かつて暴力団組員だった。銃刀法違反や恐喝などの犯罪を重ね、刑務所に3度入ったが、聖書との出合いが人生を変えた。「身内にも関係を絶たれ、行き場のない人たちのよりどころに」。時に衝突しながらも入居者と向き合い、3年超で57人の巣立ちを見届けてきた。

「心が崩れていきます。普通の人に自分を理解されるなんて絶対にできるはずありません」(入居者)。「真剣に生きようと思えば思うほど悩みは多くなる。これは真理です。支援してくださる皆が君を見ています」(青木さん)。

入居者全員と毎日交わす日記には更生途上の葛藤がつづられている。心の叫びに寄り添うのは、出所後の「闇を歩いている感覚」がよく分かるからだ。

神奈川県出身。父に反発し15歳で高校を中退。18歳で暴力団に入り、犯罪を繰り返した。暴力団同士の事件で懲役15年が確定。徳島県内の刑務所で服役中に、敵対する組織の組員からハンマーで襲われた。一命は取り留めたが、頭蓋骨骨折の重傷。隔離病室で出合ったのが、聖書だった。当時52歳。夢中で読み、移送先の熊本刑務所で2005年、洗礼を受けた。

刑期を終える7カ月前、同室だった当時90歳の受刑者の言葉にはっとした。「娑婆(しゃば)(社会)に出てから死にたい」。息子から身元の引き受けを拒まれているという。「居場所がなく罪を重ねる人たちもいる。そんな人たちのために自分の命を使いたい」

出所後、牧師やアパート経営者らの協力を得て、14年春にホームを設立した。入居者は飲酒や喫煙は禁止で、門限は午後8時。規則正しい生活を身に付けながら職探しをする。

今年4月、元入居者の男性から手紙が届いた。「成人としての志を高く持ち、これから先の人生を華やかに送れるよう頑張ります」。熊本県阿蘇市の牧場に住み込んで働きながら通信制高校で学んでいるという。
保護観察所の委託事業である自立準備ホームの入居期間は最長半年。精神障害などがあり自活が困難でも元受刑者との理由でその後の行き場がない人もいる。

「出所者たちが人間らしく過ごせるついのすみかをつくりたい」。入居期限のないグループホームの設立。青木さんは、そんな新しい夢を描く。

=2017/06/19付 西日本新聞朝刊=

https://www.nishinippon.co.jp/sp/nnp/national/article/336539/