懐かしのちゃんぽんの味

先日、一人のファミリー(Oさん 85歳)の願いが実現されました。

その願いとは、「前の施設で生活していた頃によく足を運んだ食堂で、もう一度ちゃんぽんを食べたい。」というものです。

理事長はOさんの要望を聞かれ、すぐに願いを実現されました。

Oさんが食堂に行くのは3年ぶりです。コロナ禍なのでスタッフの私と2人で食堂の暖簾を潜りました。

Oさんは店員さんに「自分の事を覚えていますか?」と訊ねると、

店員さんは、「ウチの店には沢山のお客さんが来られるから、一人ひとりを覚えられない」と申し訳なさそうに答えました。

ちゃんぽんが目の前に運ばれると、山盛りの具材に目を丸くしました。3年ぶりのちゃんぽんの味を堪能し、Oさんは山盛りのちゃんぽんをすべて平らげました。Oさんにとって、この食堂のちゃんぽんは特別な味です。Oさんが大変美味しく食べる姿を見て、一緒に足を運んだ私は小さな幸せを感じました。

帰る間際に、店員さんから声を掛けられました。

「もしかして、Oさんはいつも店の奥の席に座ってちゃんぽんを食べていた方ですか?」

私もOさんも、店員さんがOさんを覚えてくださったことに感動し、晴れやかな気持ちで暖簾を潜りました。