オリーブの家にお世話になっている頃、いつも考えていることがありました。早くここを出て、自分の部屋を借り、酒もタバコも女も賭博も、とにかく自由になりたいと。ですが、オリーブの家は刑務所ではありません。出ていきたければいつでも出ていけます。何故出て行かないのか?それは、スタッフの方々の私たちへのコミュニケーションが温かかったことと、理事長の青木さんの自らの体験と経験から、過ちを犯し挫折した自分たちに、とことん向き合ってくれたことだと感じます。そして、毎日の交換日記でいつも悩みを相談したり、将来の事を聞いて頂いたりしておりました。
今は自立し、独り暮らしをしておりますが、悩みや心配事は山ほど有りますし、出てきます。自分たちのような過ちを犯した人間は、職場の同僚に相談出来ない事も沢山あります。仕事でのストレス、これからの不安、弁償などのお金のこと等々。オリーブの家にお世話になった方々のほとんどが家族・親戚がありません。二度と同じ過ちを犯さないよう昔の友人に連絡しないようにと指導をされておりました。オリーブの家は、熊本で新しく生まれ変わった自分の生家であり、実家だと思っております。そして、青木さんを始めとするスタッフの方々は、父であり母であると思います。オリーブの家から自立していく方々は兄弟だと思います。自立しても、オリーブの家のスタッフの方々や卒業した方々との絆を大切にし、これから先も悩みを聞いてもらったり、聞いてあげたりする関係は大切じゃないかと思います。OB会的なグループを作り、生活保護で卒業した高齢者の方々への連絡や、時には話し相手になったり、卒業した方々の悩みを聞いてあげたりして、そのような活動でオリーブの家を支えることが、感謝の気持を表すことだと思っています。