山口尚久 (やまぐちなおひさ)
1976年、熊本市生まれ。2000年、慶應義塾大学総合政策学部卒業。同年、熊本日日新聞社入社。社会部、熊本総局、球磨支局、文化生活部、東京支社編集部などを経て2023年3月から人事部で勤務。趣味はジョギングと、ラジオを聴くこと。
風って、追い風の時はあまり意識しないけど、向かい風になると急に気になるな」
そんなことをふと思ったのは、市民ランナーの聖地(と勝手に思っている)熊本市の江津湖をジョギングしていた時のことでした。
ジョギングを始めたのは2016年、東京支社編集部に勤務していたころです。自宅近くにランナーの聖地(こちらは本当)、皇居があったからというだけの理由。熊本市の本社に戻ってからは自宅近くの江津湖が本拠地になりました。前回、「月刊オリーブ」に寄稿した18年の夏以降、月間100キロ以上を走り続けています。
自宅から江津湖までは基本的に、東や南の方向へと走ります。帰りは西や北向きになります。たとえば西風が強い日は、最初は追い風を受けて走っているのに、意識することはありません。ところが、自宅方向へと折り返したとたん、しんどさが急に襲ってきます。
風に逆らって走りながら、人生も同じようなものかもしれないと思いました。仕事が順調な時は、本当は同僚や家族の支えがあってそうなのかもしれないのに、あまり意識することはありません。だけど、自分で思っているようにいかなくなると、たとえば職場の人間関係にするなど、外的な要因を求めてしまいがちです。周囲のせいにしたり、周りと比べて「自分がダメだから」と過剰に考えたりしてしまいます。
パナソニックグループの創業者、松下幸之助さんは著書「道をひらく」で、「逆境であれ、順境であれ、その与えられた境涯に素直に生きる」ことが大事だと書いています。そして、そこで必要なのは「素直に生きる」ことであると。素直さを失うと、逆境時には卑屈を、順境時にはうぬぼれを生むと、松下さんは指摘します。常にこのような心持ちで過ごせるとは思いませんが、頭に置いておきたい言葉です。
このたび、青木康正理事長から依頼を受け、理事を務めることになりました。2018年は新聞記者としてのキャリアを積み上げているところでしたが、昨年3月から人事の仕事(給与計算や社員の採用、研修などを)をしています。46歳(異動当時)にして、積み上げたものをリセットして、ゼロから学び直すことになりました。自分自身が今、順境なのか、逆境なのかは自分でも分からない部分もあります。そんな時、「素直さ」だけは忘れずに、学び続けたいと考えています。そして、その学びを「オリーブの家」への助言に生かせればと思います。
いつか、「月刊オリーブ」読者のみなさまとお目にかかれるのを楽しみにしています。